
SIMとeSIMの違い「どちらがいいか?」(対応機種・国内キャリア)
目次
まえがき
・携帯電話会社を変えようとしている人
・サブで楽天を契約しようとしている人
・データ用としてIIJmioを検討している人
・eSIM、SIMどちらが良いか考えている人
この記事は上記の様に携帯電話会社を変えること、あるいは今使っている携帯電話会社はそのままで、「サブ回線」で他の携帯電話会社を契約しようと考えている方々を対象としています。
テレビCMなどで目にするような携帯電話会社をWebで契約しようとする時、申し込み手続きの初期の段階で、「SIMカードかeSIMどちらにするか」選ぶ箇所が手続き画面にでてきます。
初めてこれを見た方は「何これ?」と思う方がほとんどでしょう。今回はSIMカード、eSIMのそれぞれ特徴を理解していただける様、以下の点に注力して解説していきます。
1.eSIMとは何か?(わかりやすく)
2.eSIM、SIMどちらを選択すべきか?
3.eSIM対応キャリア&MVNO
4.eSIM対応機種(iPhone & Android)
5.eSIM⇄SIM切り替えについて
6.eSIM注意点
※2022年4月21日現在の情報です。
※記事内の料金表記は全て税込です。
目次
- eSIMとは何か?(わかりやすく)
- eSIM、SIMどちらを選択すべきか?
- eSIM対応キャリア&MVNO
- eSIM対応機種(iPhone & Android)
- eSIM⇄SIM切り替えについて
- eSIM注意点
1.eSIMとは何か?(わかりやすく)
携帯電話に欠かせないSIM
スマホを含む携帯電話には「SIMカード」(以下SIM)と呼ばれる指でつまめるぐらいのチップが入っています。SIMの正式名称は「Subscriber Identity Module」。日本語訳すると、「加入者識別モジュール」です。
SIMには、契約者を識別するための番号、電話番号などの情報が記録され、携帯電話で電話やインターネットをするために欠かせません。
そんな携帯電話に欠かせないSIMですが、みなさんは見たことはありますか?
家電量販店やドコモショップなどの街の携帯ショップで携帯電話の契約手続きをしてこられた方であれば、おそらくほとんどの方は見たことがないと思います。
SIMは携帯電話本体から抜き差しできるものですが、SIMの抜き差しは携帯電話の契約手続き中に店舗スタッフの方がやるからです。
そして、契約手続きが終わってスマホを手にしても、スマホに入っているSIMを目にする機会は、多くの方にとっては少ないでしょう(micro SDとSIMを入れるスロットを備えているAndroidスマホを使っている方は除く)。
少し話はそれますが、数年前から最近の傾向として、電話番号そのままで他社にのりかえる場合、使っているスマホはそのままでのりかえる方が多くなってきました。新しい電話番号で契約する「新規契約」でも同様です。
さらに、携帯ショップに足を運ばずとも、機種変更や他社へののりかえ手続きをWeb上で済ます方も出てきています。
これらの要因は、いわゆる「SIMロック解除」が可能になったこと、Web上での契約手続きは事務手数料が免除されるケースが多いことなどが挙げられますが、「eSIM」の登場も他社へののりかえの障壁を下げる要因になったと思います。
※「SIMロック解除」については別記事SIMロック解除したらどうなる?にて詳しく解説しています。
eSIMとは?①
情報を書き込むことができる
先ほど、「携帯電話・スマホにはSIMを差し込むことができ、このSIMに契約者情報が書き込まれ、通信ができるようになる」とご説明しました。
新しい電話番号で携帯電話を契約する「新規契約」や他社へののりかえで、今使っているスマホはそのままで使う方が増えてきたということもご説明しました。
ただ、スマホはそのままでも、スマホで通信するために必要不可欠なSIMだけは新しくつくり、スマホにいれなければなりません。
これを変えたのが「eSIM」です。
eSIMとは、「Embedded SIM」の略で物理的に抜き差しするSIMカードではなく、あらかじめスマホに組み込まれたSIM(=プログラム書き換え可能なモジュール)のことです。
Webで契約した場合、契約者情報は契約手続き後に「eSIMプロファイル」と呼ばれるものを各携帯電話会社のサイトからスマホにダウンロード・インストールすることにより、通信ができるようになります。
Web上で手続き・開通作業が完結するので、携帯ショップに足を運ぶ必要がありません。スマホ本体の購入がなければ、SIMが契約者住所に郵送されるのを待つ必要もありません(eSIMでも楽天モバイルのようにスターターキットの到着を待つ必要があるケースもあります)。
eSIM契約の場合、一般的には「eKYC」という方法を使って、申し込み当日に開通させます。
「eKYC」とは「electronic Know Your Customer」の略で意味としては、「オンラインでの本人確認」ということになります。
そして、eSIMは一つの携帯電話会社の契約者情報だけでなく、別の携帯電話会社の契約者情報も追加で書き込むことができるので、別の携帯電話会社にのりかえる場合も(eSIMに対応している携帯電話会社であれば)Web上で手続き・開通作業を済ますことができます。
eSIMとは?②
複数の回線の切り替えができる
(デュアルSIM)
SIMやeSIMについて初めて調べ始めた方で「スマホは、eSIMかSIM、どちらかしか使えない」と思っている方もいるかもしれません。
もちろん、eSIMに対応したスマホでなければSIMしか使うことができませんし、楽天モバイルの「Rakuten Hand」というスマホはSIMを入れることができず、使えるのはeSIMのみです。
しかし、日本国内で発売されたiPhoneを例にすると、2018年に発売されたiPhone XR以降のiPhoneであれば、SIMとeSIMの両方を使うことができます。※eSIMは複数のプロファイルをスマホにインストールさせることができますが、一度に起動させておけるeSIMはiPhone 13シリーズを除けば一つだけです。
eSIM(デュアルSIM)が登場する前は、「回線を使い分けたい」「2つの電話番号を使い分けたい」という場合は、スマホを2台持ちする、スマホと通話用携帯(ガラケー)を持つ、といった様な手間がありました。
しかし、eSIM(デュアルSIM)が登場した今となっては、上記の様な使い方が可能になったのです。
2.eSIM、SIM
どちらを選択すべきか?
特に理由がなければSIMがおすすめ
画像引用元:
ワイモバイルオンラインストア公式サイト
ここまで、eSIMの利点や可能性といったプラス面について詳しく解説してきました。
- 契約はWebで完結
- データ通信、通話の使い分け
- サブ回線として
これらが、eSIMのメリットですが、これらのような使い方を考えておらず、「スマホは普通の使い方で良い」という方であれば、「SIM」を選択しましょう。
eSIM注意点で詳しく解説しますが、eSIMの初期設定や運用にはスマホの設定やWi-Fi、モバイル通信などに関する知識が必要であり、慣れていない方からすると、敷居が高いからです。
画像引用元:
LINEMO公式サイト
こちらはSoftBankのオンライン専用ブランド「LINEMO」の公式ホームページの画面です。利用開始の説明部分にも、
SIMカードとeSIM、どちらを選べばいいのかわからない場合は迷わずSIMカードを選ぼう!引用 LINEMO公式HP
と書かれているぐらいですから。
「eSIM、SIMどっちがいいの?」
そう思ったら、迷わずSIMカードを選びましょう。
物理SIMとeSIMの使い分けイメージ(4:17〜再生されます)
3.eSIM対応キャリア&MVNO
パッと思いつくトコは大体対応している
テレビCMなどで目にする大手通信キャリア、ブランドは全てeSIMに対応しています。
【大手通信キャリア・ブランド】
ドコモ、au、SoftBank、楽天モバイル、
UQ mobile、ワイモバイル
ahamo、povo1.0/2.0、LINEMO
一方、自社で通信設備を持たず、大手通信キャリアから通信設備を借りて、携帯電話事業を運営している「格安SIM(MVNO)」でeSIMに対応しているのは次の3社(3ブランド)です。
【格安SIM(MVNO)】
IIJmio、日本通信、Links Mate
※IIJmioのeSIMはデータ通信のみ。
音声通話とSMSは利用不可。
画像引用元:
日本通信公式サイト
各社eSIM、SIMカードどちらを選択しても、選べるプランは同じですし、月額料金も同じです(IIJmioのeSIMはデータ通信のみ、5G非対応です)。時折、「eSIMを選択すると、新規・のりかえ特典としてキャッシュバック金額が大きい」といった違いがあるくらいです。
4.eSIM対応機種
iPhone & Android
iPhone
2022年4月現在、eSIMに対応しているiPhoneは、次の16機種です。
- iPhone 13 Pro Max
- iPhone 13 Pro
- iPhone 13
- iPhone 13 mini
- iPhone SE(第3世代)
- iPhone 12 Pro Max
- iPhone 12 Pro
- iPhone 12
- iPhone 12 mini
- iPhone SE(第2世代)
- iPhone 11 Pro MAX
- iPhone 11 Pro
- iPhone 11
- iPhone XS MAX
- iPhone XS
- iPhone XR
Android(各キャリアの機種)
ここでは、2022年4月現在に各キャリアから発売されている、eSIM対応のAndroidをまとめますが、iPhoneと違い、Android全体の種類から考えれば、その数は多くありません。主に海外メーカー製のAndroidが中心です。
ドコモ:なし
au
・AQUOS wish SHG06
・AQUOS sense6 SHG05
・AQUOS zero6 SHG04
・Google Pixel 6
・Google Pixel 5
SoftBank
・Redmi Note 10T
・シンプルスマホ6
・arrows We
・OPPO A55s 5G
・AQUOS zero6
・Google Pixel 6 Pro
・Google Pixel 6
・Google Pixel 5a(5G)
・Google Pixel 4a(5G)
・Google Pixel 5
・Google Pixel 4 XL
・Google Pixel 4
楽天モバイル
・AQUOS wish
・OPPO A55s 5G
・AQUOS sense6
・AQUOS zero6
・Xperia 10 III Lite
・OPPO Reno5 A
・OPPO A73
・AQUOS sense4 lite
※eSIMしか入らない機種は除く
ワイモバイル
・Android One S9
・OPPO Reno5 A(eSIM)
・AQUOS wish
・Libero 5G II
UQ mobile
・AQUOS sense6
・AQUOS wish
※ahamo、povo1.0/2.0、LINEMOではブランド独自のAndroidは発売していません。
eSIM注意点でも解説しますが、eSIMを契約する前(他社にのりかえて解約する前に)必ず、「SIMロック解除」をしておきましょう。
5.SIM⇄eSIM切り替えについて
SIM→eSIMの場合
ほとんどはWebでできるが…
この章では、携帯電話会社はそのままで、SIMの種類を変える手続き方法についてまとめています。
※2022年4月21日時点の情報です。
※ahamoなどのオンライン専用ブランド、MVNOについてはWeb上での手続きとなります(ahamoのシステムメンテナンス時などは除く)。
ドコモ
SIM→eSIM(再発行も)
①ドコモオンラインショップ(無料)
※ただし、2022年4月21日時点ではシステムメンテナンスのため、ドコモショップでの手続きとなりますが、システムメンテナンス中はドコモショップでの手続きとなっても無料です。
②ドコモショップ(2,200円(税込))
※システムメンテナンス終了後
eSIM→SIM
ドコモショップ(有料:2,200円(税込))
ドコモの場合、SIMからeSIMに変更することは(システムメンテナンスが終われば)Web上でできますが、eSIMからSIMへの変更はWeb上でできず、ドコモショップでの手続きになります。
au
SIM→eSIM(再発行も)
①My au(無料)
②auショップ(2,200円(税込))
eSIM→SIM
auショップ(有料:2,200円(税込))
auの場合も、SIMからeSIMに変更することはWeb上でできますが、eSIMからSIMへの変更はWeb上でできず、auショップでの手続きになります。
※eSIM→SIMの手続き方法に関しては、auの公式ホームページにはのっていません(問い合わせ窓口のオペレーターの方に確認しましたが、eSIM→SIMの手続き方法は確かに公式ホームページでは用意していない、とのことでした)
UQ mobile
SIM→eSIM(再発行も)
①My UQ mobile(無料)
②UQスポット(2,200円(税込))
eSIM→SIM
UQスポット(2,200円(税込))
UQ mobileの場合、SIMからeSIMに変更することはWeb上でできますが、eSIMからSIMへの変更はWeb上でできず、UQスポットでの手続きになります。
SoftBank
SIM→eSIM(再発行も)
①SoftBankオンラインショップ(無料)
②ソフトバンクショップ(3,300円(税込))
eSIM→SIM
ソフトバンクショップ(3,300円(税込))
SoftBankの場合、SIMからeSIMに変更することはWeb上でできますが、eSIMからSIMへの変更はWeb上でできず、ソフトバンクショップで「機種変更」として、手続きをする必要があります。
SoftBank公式HP USIMカードからeSIMに変更したい場合は、どうしたらいいですか?
ワイモバイル
SIM→eSIM
ワイモバイル ショップ(3,300円(税込))
eSIM→SIM
ワイモバイル ショップ(3,300円(税込))
ワイモバイルの場合、SIMからeSIMへの変更、eSIMからSIM変更共にWeb上ではできず、ワイモバイルショップでの手続きになります。eSIMの「再発行のみ」Web上(My Y!mobile)で無料でできます。
6.eSIM注意点
記事の最後にeSIMを契約する上での注意点、日常的に利用する上での注意点についてまとめます。
eSIMの注意点
①SIMロック解除しておく
②QRコード読み取りが必要(設定時)
③Wi-Fiが必要(設定時)
④(eSIMの)プロファイルは消さない
⑤予期せぬ動作不良も
①SIMロック解除しておく
eSIM対応機種でも解説しましたが、eSIMを利用するには、事前にSIMロック解除をしておきましょう。もっとも、eSIMに限らず、SIMでも今使っているスマホに、違う携帯電話会社(ブランド)のSIMを挿して使う場合はSIMロック解除が必要です。
②QRコード読み取りが必要(設定時)
eSIM契約の手続き(SIMからeSIMへの変更手続きの時も同様)を終えると、契約情報(プロファイル)をダウンロードするためのUQコードが各社より発行されます。
eSIMを使うスマホでこのQRコードを読み込む必要があるので、QRコードを表示させるための別のスマホか、パソコンが必要になってくることがほとんどです。
ただし、筆者の場合2022年1月20日に楽天モバイルのeSIMをeKYCで契約した時は、これから使うスマホ上のみで設定が完了し、QRコードの読み込みは不要でした。携帯電話会社によっては、こういうこともあるようです。
③Wi-Fiが必要(設定時)
そして、プロファイルをダウンロードするためには、Wi-Fi環境が必要です。
④(eSIMの)プロファイルは消さない
一度、ダウンロード・インストールしたeSIMのプロファイルは、その携帯電話会社を解約しない限り、絶対に削除しないようにしましょう。再度、プロファイルをダウンロードしない限り通信ができなくなってしまいます。
楽天モバイルの様に、プロファイルを削除してもWeb上でいつでも、無料でプロファイルをダウンロードできる会社の方が珍しいです。
auやUQモバイルでは、一度プロファイルを削除してしまうと、プロファイルを入れ直すためだけにショップに足を運ばなければなりません。事務手数料がかかるというデメリット以上に、営業時間内にショップにいかないと、通信できるようにならないことは非常に大きなデメリットになります。
⑤予期せぬ動作不良も
去年の秋頃、「iPhoneを中心として、データ通信専用のeSIMを「モバイルデータ通信」の回線として使用すると、緊急期間(110/118/119)への発信ができなくなるケースがある」と各キャリアから発表されました。
その後、iOSのアップデートにより、不具合が解消されたようですが、eSIM回線とSIM回線で違う会社のプランを併用するデュアルSIM運用では、予期せぬ動作不良が発生する可能性があります。
7.まとめ
以上、この記事では、eSIMそのものについて、eSIMの活用シーン、eSIMに対応している会社・対応機種について解説してきました。
「サブ回線として、メイン回線とは別の会社のSIMを利用したい」と考える方には、大変便利なeSIMですが、設定がやや複雑だったり、予期しない事象が発生するなど、eSIM独特の注意点もいくつかあります。
「サブ回線とか考えていない」という方は、普通のSIMを契約されることをおすすめします。
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